【ふぉと散歩】焼き窯に鉄道レール!?
焼き窯観察
焼き窯は鉄道レールで支えられている
やきもの散歩道を歩くと必ずと言っていいほど見かけるのが焼き窯。
現在は電気窯、灯油窯、ガス窯などがありますが、昔は石炭をくべる方式が一般的でした。
窯の材料は耐火性のあるレンガが使用されています。
この窯をよく観察すると窯を支える柱の部分に鉄道用のレールが使われていることがわかります。
どんなルートで入手できた?
鉄道用のレールは耐久性が高いため、古くは鉄道駅舎の屋根の柱に使われたり、架線柱や柵に使われたりと再利用されることが多かった*1のですが、ほとんどの場合は鉄道会社内で完結します。
その中で一般的な用途として焼き窯に使われているのは非常に珍しい存在です。
どんなルートで入手できたのかということをインターネットで調べてみたところ、
LIXIL文化活動のページに行き当たりました。
ここではLIXILの博物館、INAXライブミュージアム*2に設置されている窯について説明がなされておりますが、このページによると三重県の桑名郊外の古物商から購入したものだそうです。
鉄道会社からの直入手は珍しいため、他の場所で使用されている古レールもおそらく同じルートで入手したものだと考えられます。
レールには製造履歴が刻み込まれている
レールの側面を見ると製造会社名、製造年月、レールの種類や重さなどが刻印されており、 この内容よりいつの年代でどういったレールの種類が使われているのかを見ることができます。
レールの種類について
余談になりますが、レールの種類について説明します。
「レール」と一言にいってもいろんな種類があり、
レール上を通過する列車の重量や通過頻度で使うレールが異なります。
レールの種類を言う際に1mあたりのレールの重さを表す「Kg」で表すのですが、 一般に30Kg*3、37Kg、40Kg、50Kg、60Kgがあります。
また、路面電車用にフランジ(車輪の外周部分)が通れるように溝が付いている溝付レールといったものもあります。
レールの重量が重いほど重い列車(機関車など)が通るところや通過頻度の高いところで使われており、頑丈にできていることを示します。
どこの鉄道会社で使われていた?
窯の支柱で使用されている古レールで
もともと使用されていた場所は 普通鉄道用(使用場所不明)のほか、
東京市電(都電の前身)で使われていたものなど様々あるようです。
製造国はドイツ、アメリカ、イギリスなどこちらにおいても様々あるようです。 古物商がどういった経緯で入手したかは不明ですが、資材が不足している当時は重宝する材料だったのだと思われます。
参考資料
LIXIL(LIXIL文化活動)窯のある広場・資料館 (「[3]窯に使われた古レール」より)
脚注